★下顎呼吸

12月31日、この日の朝は下顎呼吸が始まる。こうなると数時間で死亡するケースがある。時々話そうとするがとても小さな声だった。さくらは氷らせたコーラを口に含んで、たかじんの口に移した。久保田医師はスキー旅行をキャンセルして待機する事になった。

携帯電話をボイスレコーダー代わりにして、たかじんと会話を交わした。


【引用純愛 378-379P】
「またしばらくねんねするから、ねんねする前にちょっとお喋りしてくれる、さくらに」
「うん」
「うん?何か言いたいことない?」
「しんどい」
「しんどいねむ、オーケー、じゃあマスクしようね」
「ぼくは、あと、どのくらい?」
(中略)
「頑張る」


百田尚樹は、この時のさくらの優しい声はまさに天使のように聞こえた。私はこの録音を聴いて涙をこぼした。と書いている。

1月1日、たかじんが夜に目を覚ました。


【引用純愛 380P】
「一月一日、頑張ったね。すごいね」
さくらが褒めると、彼は「あかん」と言った。
「何があかんの?」
「あかん、あかん」
「一月一日だから、あかんの?」
彼は「うん」と言った。
「何があかんの?神様のところへ行くのは、お正月だからあかんの?」
「うん」とたかじんはまた言った。「頑張る。もっと頑張る」
「明日まで頑張るの?」
彼は首を横に振った。
「明後日まで頑張るの?」
彼は「うん」ともう一度言って、眠りについた。


1月2日

【引用純愛 381P】
たかじんは呼吸がしにくそうで、見ていて本当に苦しそうだった。現在の状態で睡眠薬を使うと、そのまま息が止まってしまう可能性もあると言われたが、少しでも楽にしてあげたいと思った。
「ハニー、苦しいから、少しねんねできるようにしてもらいたい?しようか?」
さくらは耳元で言うと、彼は「アイラブユー」と言った。これが、たかじんの最期の言葉となった。
睡眠薬を投与すると、静かに眠った。しかし、手足はどんどん冷たくなっていた。
(中略)
彼は口を動かして何か言ったが、聞き取ることができなかった。でも唇は「アイラブユー」と動いているのがわかった。


息をしていないのに気付いたさくらがナースコールで呼んだ、ナースマネージャーの寺田麻子が心拍を調べ、久保田医師を呼んだ。
久保田が死亡を確認した。1月3日午前一時三十四分だった。

★救急搬送報道

殉愛では12月26日入院、1月3日未明死亡となっているが、当時の報道は全く違う。自分もテレビで「食べ物を喉に詰まらせて死亡」と聞いた記憶がある(記憶によると辛坊治朗が出演した番組だったと思う)。当時の報道等を列記しよう。

年始は自宅で過ごしていたが、容態が急変し、搬送された病院で死亡した。(角岡伸彦著「ゆめいらんかね たかじん伝」)

関西人にとっては父親を亡くしたも同然だった。1月7日、関西を中心にカリスマ的な人気を誇る歌手・タレントのやしきたかじん(64)が心不全で亡くなったことが発表された。
1月3日に、東京都内のマンションで食事中に食べ物を喉(のど)に詰まらせ、主治医の勤務する中央区の総合病院に救急搬送。昨秋に入籍したばかりの妻が見守る前で息を引き取った。
(FRIDAYデジタル2014.1.9)

やしきさんは食道ガンで活動を休止し、静養中だった。関係者は、東京で正月を過ごしていた際、食事を喉につまらせ救急搬送されたと証言。
関係者によると、一時は好きなワインもたしなみ、ウオーキングをするなど心身共に順調に回復。 今月中旬には静養も兼ねハワイに滞在する予定だった。
(ライブドアニュース)

関係者によると、東京の自宅で正月を過ごしていた際に食事を喉につまらせ救急搬送され、最期は夫人に看取られ息を引き取ったという。
親交の深かった著名人たちの反応で共通するのは、全く死の兆候を感じていなかったことだ。たかじんさんの関係者から漏れ伝わってくる情報によって「体調は少しずつ回復している」との認識が広がっており、突然の死去は寝耳に水だったようだ。
(メンズサイゾー)

 いろんな方々から電話やメールをいただいたが、ボクは信じられなかった。8日から、たかじんさんは新妻とハワイに静養に行く予定になっており、チケットも購入済みだったからだ。
それだけではない。この静養に備えて、たかじんさんは大好きなカルフォルニアワインを大量に注文。米国本土にしか売っていない葉巻も取り寄せていた。この行動は体調が回復していたことを裏付けるもので、ハワイ静養後、タイミングを見て復帰するという青写真だったことを意味している。(芸能レポーター・井上公造)
 (yahooニュース)

この他に各スポーツ紙も報じがん闘病中に心不全との報もあったが、「救急搬送」と同一の単語が使われた報道が複数に渡るのは、ソースが消防か警察なので捏造はない。ならば殉愛での記述はフィクションとなる。

★病院事情の指摘

何度か書き込んでる医師です。
悪く考えれば、主治医に死亡確認してもらわなければ困ること、他の医療関係者の目につきにくいことだとすれば、年末年始体制の夜間が、もってこいです。

自宅で救急車を呼ぶの同時に、主治医にも連絡(勤務時間外でも主治医に電話メールしていたと殉愛に記述)すれば、自宅にいた主治医も、救急車到着すぐには病院に着きたかじんを診ることができ、他の待機の救命の医者が診ることなく 死亡診断が書けた。
でも、運ばれる救命には救命の看護師がいるから、そこの目はどうしたのかが分からない。

(2CH 既婚女性板より抜粋)

そういえば、聖路加はキリスト教の病院なのでしっかりした緩和ケア科もあると思いますが、最後まで主治医は久保田先生なんですね。オペ不能な末期ガンで疼痛コントロールが主なら、緩和ケア科にうつるのが普通ですが、よほど久保田医師を主治医にしておきたかったのですね(医師)
(2CH 既婚女性板より抜粋)

聖路加病院医師、看護師達は実名で書かれながら、さくらを賛美しているが疑問への一切の説明をしていない。

★息を止めた!?

殉愛の中でさくらが、現在の状態で睡眠薬を使うと、そのまま息が止まってしまう可能性もあると知っていて、「ねんねしようか」と言い「睡眠薬」を与えた。このシーンと救急搬送がオーバーラップして、湧き出す疑念を抑えることが出来ないでいるのだ。

聖路加国際病院の医療管理体制に対する根本的な疑問と疑惑
(2CH 既婚女性板より抜粋)
・「たかじんが苦しそう→ナースコール」という病室での通常行動を取らなかった理由は何か?
・当時のたかじんは、錠剤の睡眠薬を嚥下できるはずないので、点滴か注射で投与のはず
・医療資格を持たない素人のさくらが、このような医療行為を本当に行ったのかという疑問
・危険性を告知されていたさくらが、自己判断で睡眠薬を投与し死亡に至らせたことの是非


救急搬送が正しいなら、入院継続中に死亡と殉愛に書かれた、聖路加国際病院と主治医の久保田医師はなぜ反論しないのだろうか、それともマスコミ報道が誤報なのか、 やはり百田尚樹の演出なのか。

★たかじんは回復していたのか!?

もう一つの情報がある。北野誠が未亡人から聞いた話として証言している話だ。
『北野誠が、2014年1月11日放送「たかじん胸いっぱい」で報告。たかじんがNHK紅白歌合戦を見て「綾瀬はるか、これどやねん?」とつっこんでいた』
紅白歌合戦が放映された12月31日は、殉愛によると朝から下顎呼吸が始り、数時間で命を落としてもおかしくないと久保田医師に診断された日だ。そんな状態でテレビ番組に見入り、司会者を論評しているのは真実性に欠ける。

殉愛を読むと不思議な気分になる事が有った。10月10日の入籍後はたかじんの病態悪化とKマネへの批判的な記述が圧倒的に多いのだ。井上公造のコメントにあるように、たかじんは正月のハワイ行きのチケットを用意したり、メッセンジャー黒田が訪問した際にはワインを痛飲する程回復していたのにだ。さらに、大晦日の関西テレビ「胸いっぱい1000回記念」にサプライズ登場しようとして赤いブレザーを用意していた。そして紅白の件。
たかじんは復帰のきざしを見せる体調だったのではないのか?。
そしてこれは「アサヒ芸能」に掲載された記事だ。

「昨年末(注:2013年12月、死亡の数日前)の段階でも、たかじんさんは元気だったんです。一部報道にあったガンの全身転移なんてのはウソ。復帰に向けてゆっくりとリハビリしているという状態で、春にも復帰するスケジュールでスタッフも動いていたのに‥‥」
「正月に都内で過ごしていたたかじんさんは、食事中に気分を悪くしてそのまま倒れ、緊急搬送された。最期は夫人に看取られ、静かに息を引き取ったそうです」(民放関係者) (アサヒ芸能)


「食べ物を喉に詰まらせ救急搬送」されたとあるが、「食べ物」は何だったのか?
一部のマスコミが書いた死因「心不全」もこのことでないのか?
それは偶然なのか? それとも故意なのか?
殉愛で死因が書かれていないのはなぜなのか?
憶測は尽きないのだが、その後の検証記事は出てこない。出て来たのは巨額の遺産を相続した未亡人に対する記事だけである。それどころか、救急搬送を報じたFRIDAY(講談社)でさえ、殉愛騒動勃発後はいわゆる作家タブーに屈した形で未亡人擁護側に回り、真実を伝える様子はさらさらないようだ。。

★疑念

この日まで最初に抱いた報道と殉愛の乖離への疑念が払えていない。幾通りもの推測を立ててみたが記するのは控えておくことにする。あまりにもおぞましいストーリーばかりだからだ。今後の真実の解明に期待するとしたい。