★ぺちゃんこになった肺

4月18日夜、久保田が縫合不全の疑いがあるとして、ドレーンを挿入して肺近くの膿を抜いた。たかじんは、痛みで「うーん!」と大きな声をあげた。

4月19日、検査の結果「合併症・縫合不全」と診断され再手術を受けることになった。ほころびから洩れた膿が流れ出し、肺を押しつぶしてぺちゃんこになっていたのだ。
肺を取り出してドレーンを三本入れる大手術となり、たかじんの手術は六時間で終え、竹中看護師長に「生きてるのが不思議なくらい」と言われた。


★でしゃばり気質

【引用: 純愛133P】
今回の縫合不全は自分が異変に気付いたから発見できたとも言える。
(中略)
すべてを医師と看護師まかせにしてはいけないと思った。彼の命を守るのは四六時中そばにいる自分の役目だ。・・・・・自分も病気と治療に真剣に向き合い、もっと勉強しようと決めた。


「自分が見つけた」「四六時中そばにいる」「父よりたかじんが大事」、"純愛設定"に重要なパーツの言葉が並ぶ。
医師と看護師に任せておけないとは、知識も経験もないさくらが何を出来るのか。周囲の者が知識を持っておくのは大事だが、聞きかじりの知識で中途半端に口を出すのはクレーマー予備軍と化すだけで、病院にとっては迷惑なことだろう。

又、再手術後の譫妄状態がひどく、医師はドレーンを抜こうとするたかじんをロープで縛ろうとしたが、さくらは「夜の間は私が見ますから、彼の手足を縛らないで」と訴えた。医師が認め、これ以降、ICUに泊まり込むことになったとある。
医師が指示した処置を曲げてまで付添いをICUに泊まらせたり、患者を見させたりする病院はないはずだ。三田病院はこんな表現をされて黙認してるが、本当に大丈夫なのか。

★手術への指摘

「縫合は医療機器を使って自動的に止まるんですね。それを使っている以上、医師の腕に差はないんです。ただ手術の前に抗がん剤とか放射線とかを入れると、分かりやすい話が筋肉がボロボロになるんです。」
(たかじんの長年の相談役である形成外科医「伊東信久」の証言)
たかじんは、伊東医師から紹介された大阪市立大病院に当初入院していたが、さくらが紹介したとされる三田病院へ転院した。
(角岡伸彦著/小学館・ゆめいらんかね やしきたかじん伝)


伊東医師が言う医療機器を使った縫合とは、4月9日に施術された一回目の手術のことを指している。この手術は内視鏡手術(今回は腹腔鏡)と言われるもので、創が小さく術後回復も早いのが利点とされている。しかし、食道がん手術の場合はガンに冒された食道を切り取り、食道の代用として持上げられた胃と残された食道を繋ぐことになるが、縫合機器を利用した場合は繋ぎ目ぎりぎりを縫合する為、ほころびが出る可能性が高い。伊東医師が指摘しているように、特に細胞が脆くなっている抗がん剤を利用した後の手術では、開腹により縫い代に余裕を持たせた処置が必要になる。
たかじんの場合はまさにこのケースに該当している。
殉愛では腹腔鏡手術に一切触れておらず、むしろ手術のミスではなく、患者の誰にでも起こりうると記している。この時の執刀医は宇山医師とされているが、主治医はたかじんの死亡を確認した久保田医師である。久保田医師は殉愛の重要なポイントに登場し、金スマにも出演してさくらの看病ぶりを高評価した人物であるが、その殉愛の中で表現されている不可解な医療行為やたかじん死亡のシーン等に関しては一切無言である。
医師の守秘義務はあるだろうが、殉愛は圧倒的なノンフィクションとふれ込まれた小説である。あまりにものミステリーゾーン化に、久保田医師をグレー視するたかじんファンやネット民が多い現状であり、さくら未亡人に呈されている問題を抱えているのかとの疑念も沸く。それがあるとするなら自分の推測では、結果的に縫合不全を起こした一回目の内視鏡手術が、その突端だったのではと思う。


★父のガン

【引用: 純愛131P】
(4月19日)手術中に、妹から電話がかかってきた。
「お父さんが二十三日から入院するの」妹は言った。「それで二十五日に手術することに決まった」
まさかこんなときに父の手術の話を訊かされるとは思わなかった。
「お姉ちゃん、帰ってこれる?」
「ごめん、今は無理。たかじんさんが大変なときなの」
事情を説明すると、妹は「仕方がないね」と言った。

その後、父に電話をするとかんかんに怒り、これ以降勘当状態にされたというが、父のガンはイタリアで待つ夫と家族へのいい口実になった。実情は乳飲み子を抱えた妹さんに任せたわけだが。